クラリーセージ

 クラリーセージは、キキョウ、キバナコノコギリソウ、ダリア等の先で開花中です。今年は未だ1本しかないので、余り目立たないかもしれませんが、道路からでも見ることが出来ますので、近くによって是非ご覧下さい。
 どの植物にも言えることですが、本当に花の命は短くて・・・なのです。この期を逃すと来年までみることはできませんからねぇ。
クラリーセージはこのような姿ですから、直ぐ見分けられるでしょう。

 クラリーセージの和名はオニサルビアです。私は何年もの間、前回の“ミナトタムラソウ”をオニサルビアと思い込んでいました。とはいえ、形態が異なるのに、何故同じ名前であるのか疑問だったので、調べてみてもはっきりせず、千葉中央博物館で同定していただいた結果、間違っていたと分かりました。こちらのオニサルビアこそ、間違いなくクラリーセージの和名だったのです。

 

 学名にSalvia sclareaとあるとおりサルビアの仲間です。大型のサルビアという意味でついた和名がオニサルビアです。種小名の sclareaはギリシャ語のスケリア(これは堅さを意味するそうです)に由来すると云われています。クラリーセージの花弁の先端が小さく堅くなることからつけられたのでしょう。

 

 クラリーセージの原産地は、ヨーロッパから中央アジアにかかる一帯です。草丈が1m以上にもなる大型の二年草で、薬用ハーブとして、ヨーロッパでは古くからよく用いられてきました。薬用として使うことが出来るセージは、このクラリーセージとヤクヨウサルビアの二種だけです。
現在では、精油を採るために栽培されています。

 

 種子を水に浸けて出る粘液を、洗眼薬として用いていたことから、別名はクリアーアイClear eyeと云われます。

葉と花穂からは水蒸気蒸留で精油を採ります。この精油は女性ホルモンのエストロゲンに似た成分のスクラレオールを含有するので、生理痛や月経前症候群、更年期の自立神経の不調などの女性特有の症状に有効とされています。また強壮作用、鎮静作用も認められており、アロマテラピーでは、神経疲労に対して、緊張や不安などに用いられます。また筋肉痛にも温湿布やアロマバスや、トリートメント(オイルを使ってするマッサージのこと)等で有効です。

 

 余談ですが、古い時代には、クラリーセージのハーブには人を陶酔させる作用があることを知っていた人々は、宗教的儀式を行う時に飲むお茶をクラリーセージの葉から作っていたそうです。17世紀のイギリスでは、クラリーセージの持つ陶酔作用と同時に強く甘い芳香を、ビール醸造の原料となるホップに代用していたし、ドイツでも、クラリーセージの精油の香りがマスカットワインに似ていることから、質の悪い安物のワインの風味を調えるために使っていたそうで、このようにして作られたビールやワインを飲んだ人は、とてもひどく酔っぱらい、二日酔いに悩まされたという記録が残っています。実際に、飲酒中にクラリーセージの精油を使用すると、酔いが増長され気分が悪くなるといわれますから、注意が必要です。

原産地: ヨーロッパから中央アジア一帯。
形 態:草丈は1~1.2m程になる大型の二年草です。少し刺激臭のある葉は広卵形

    で大きく、細かい銀白色の毛を密につけています。花期は6~7月頃、茎頂

    に薄紫色の花を輪生につけ、花後は色のついた苞を残します。冬期は地上

    部は枯死し、耐暑性にはやや劣ります。    
学 名:Salvia sclarea
科 名:シソ科
利用部位:葉、花穂
利用法:●葉⇒食用(スープの具、フリッターにして)に。賦香料(製品の基剤に

      香りをつけることです)に。
    ●水蒸気蒸留で精油を採ります。
      精油・・・●トリートメントに(マッサージオイルとして)筋肉痛に。
          ●香味料、香水、化粧品に。
          ●蒸気吸引で。、
    ●民間では⇒種子を水に浸した粘液を、眼の洗眼に。         
効 能:アロマセラピ-では、ストレス、疲労、消化不全、月経障害などの緩和

    に。
成 分:酢酸リナリル、リナロール、スクラレオール 。

 

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