レンギョウ

 今日42日は、彫刻家であり詩人でもあった高村光太郎の命日です。晩年を過ごした中野区のアトリエにはレンギョウが植えられていて、こよなく愛していたそうですし、74才で亡くなったとき、レンギョウ一枝が棺には供えられたといわれています。きっと庭のレンギョウは,お別れに花を精一杯咲かせたのでしょう。この日には、日比谷 松本楼で偲ぶ会“連翹忌“ が催されています。 

今回は、それに因んでレンギョウをご紹介します。

  レンギョウForsythia suspensa は、モクセイ科の落葉小低木で、雌雄異株(しゆういしゅ)です。葉は鋭い鋸歯縁で、枝が伸びて地面につくと根を出してそこから木になります。根元を見ると株立ちしていることが多く、こんもりとした樹形になるので、庭木、垣根や公園などに植栽されています。

 

←当園のは、レンギョウです。 

 よく目にするレンギョウは中国原産のシナレンギョウF. viridissima 又は朝鮮半島原産のチョウセンレンギョウF. koreana がほとんどです。花は大変よく似ているので見分けるのは難しく、一般にはひっくるめてレンギョウとしています。【樹木の部屋・春の樹木・4月・シナレンギョウ】ではそれぞれの特徴が詳しく書かれていますので、参考にしてください。

 天平5年に編纂された『出雲風土記』に「連翹」の記載がありますが、果たして、現在私達が目にするレンギョウであるか否かは、諸説あるようです。

 

この他に、現在は絶滅危惧種の日本の固有種(広島県東部・北部と岡山県西部の固有種)であるヤマトレンギョウF. japonicaMakino とショウドシマレンギョウF. togashii Hara があります。固体数が少ないうえ、花数が少なく、地味な為かあまり植えられていないようです。 

 

 レンギョウは,春告花、迎春花とも呼ばれ鑑賞用として親しまれていますが、果実を乾燥させて生薬 連翹(れんぎょう)として、消炎、利尿、排膿、解毒薬に用いられています。 連翹(れんぎょう)は、解毒、排膿、消炎、利尿の働きが非常に強く、古くから腫れ物の特効薬として用いられ、結核性頸部リンパ節炎(瘰癧 ・るいれき)やにきびなどの治療薬としては特に定評があるそうです。

とはいえ私は、枝についた果実を見た事がありません。というより、恥ずかしいのですが、気が付かなかっただけかもしれません・・・・・

レンギョウの果実とは、このようなものです。↓

 果実をあまり見ないのは、レンギョウには自家不和合性があるのだろうと思います。別の種類の株が近くにあれば結実するのでしょうが、挿し木が容易なので増えた株が、遺伝子の同じものばかりでは結実しないのだろうと思います。

 

4/2日、このように書きましたら、前の職場の上司(東邦大学薬用植物園 技術員・川上さん)から、【今まで見てきた個体の8割が雄株。鑑賞用として翌年、花がつきやすいようにと、雄株が主流になって普及したと思われるが、“当園の花”の写真は、雌花だから額田にあるのは雌株。よく見れば果実はついているかもしれない。自家不和合性というより、近くに雄木があれば受粉し結実するはず。】と指摘されました。そして、「どのような状態で栽培しているのか」と訊かれたので、私が来る前のままで、“生け垣の間からのぞいている状態”というと、【日の当たる場所に移して栽培すれば、雌株だけでも結実することがあるが、どれだけ虫が寄ってくるかに依るだろう。雄木があれば確実。】と移植を勧められました。

上の赤字の部分は、“単に雄木が無いから果実は見られなかった”のだと訂正します。


 ならば、生け垣の中のレンギョウは、早速陽の当たる場所に移さなくてはなりません。そして雄木を探して、雄花の花粉をつければ結実を見ることが出来るかしら・・・・・ 
ご教示、感謝感謝です。

 

皆様もレンギョウをご覧の折は、果実を探してみてください。果実が付いていればその木は雌木です。

 

学 名:Forsythia suspensa

科 名:モクセイ科 

生薬名:連翹(れんぎょう) 

利用部位:・Forsythia suspensa又はF. viridissimaの成熟果実⇒秋に果実を採取

      し日干しにします。 

      花⇒日干しにします。

利用法:・消炎、利尿、排膿、解毒に⇒連翹1220gを水400cc で、1/3量に成るま

     で煎じ、一日3回に分けて服用します。

     ・利尿、緩下、高血圧の予防に⇒日干しした花 3gに熱湯を注いで飲用し

           ます。(ハーブティーの要領で淹れればよいで小。

効 能:消炎、利尿、排膿、解毒、緩下、高血圧予防に。

成 分:トリテルペノイド、 リグナン、 フェニルエタノイド配糖体、 フラボノイド:など。

 

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