アマチャヅル

 通院している病院(整形外科の理学療法)の看護師さんから「蔓で、他の植物にまとわりついて伸びて困っている。白い小さな花が咲くの」という程度の情報だっ為、ツルハナナスか、センニンソウか、ニンドウか、はたまたカナムグラかヤブガラシ?と思い当たりましたが、ハッキリ言えなかったので、‘実物を写メでいいから撮って見せてほしい’と頼んでいたのです。

昨日治療に行くと理学療法士の先生から「実物を預かっていますよ」と手渡されました。観れば「アマチャヅル」です。アマチャヅルは至る所で蔓延っている実に厄介な植物です。園でも思いがけない場所に生え、傍の植物に覆い被さり、それでも未だ満足しないのか足元にも拡がっています。大方の人は、夏季には悩みの種となってることでしょう。

 

 アマチャヅルは、“路傍の雑草からすばらしい成分が発見された”というので昭和の終わり頃から、一大ブームになった植物です。今は、すっかり忘れられて厄介視されているので、いまいちど思い出して利用できるのではないかしらと思い、今回はアマチャヅルを取り上げました。

 アマチャヅルは日本全土の山野の木蔭や薮の縁、道端などの至る所に生えている蔓性の多年草です。分布は朝鮮半島、中国東南アジアに広く分布しています。

雌雄異株で、茎は地上を這うか、葉のつけねにある巻きひげを絡ませて、他の植物などに絡み付きよじ登り繁殖します。 若い時には淡色の軟毛がありますが、すぐ無毛となります。 葉は互生し、3~7枚の小葉からなる鳥足状複葉です。小葉は狭卵形で先が尖り、葉縁は鋸歯状葉、葉面には細毛が散生しています。花は円錐状の黄緑色の小花を多数つけます。 果実は球形の液果で上半分には鉢巻状の横線が1本あり、熟すと黒緑色にあります

拡大写真  葉    果実

  アマチャズルとよく似たのに、ヤブガラシCayratia japonica(ブドウ科)があります。葉面には全く毛がなく、巻きひげも葉の反対側についている点で区別ができます。

下の画像はヤブガラシです。その繁殖力には、皆様も閉口していらっしゃることでしょう。

 話はアマチャヅルに戻ります。

 

 1976年(昭和 51年)の日本生薬学会第23回年会で星薬科大学の永井正博助教授(現教授)が、『アマチャヅルのサポニン』の研究発表がありました。アマチャヅル研究では我が国最初の研究でした。

その内容は、甘味のある物を集めて甘味成分の本態究明研究の結果、従来、朝鮮人参の成分として知られていたパナキサジオールを結晶として抽出することに成功された研究発表です。

 

 其の翌年の1977年(昭和 52年)の日本生薬学会大24回年会で徳島文理大学の竹本常松教授が『アマチャヅルの成分研究(第一報)新サポニンの構造』、を発表されて以来1983年まで11報まで研究発表を続け、「アマチャヅルは、薬用朝鮮人参と同様の有効成分サポニンが70種類以上含まれる」事を発表されました。

                         

 しかしながら、成分の含有組織がチョウセンニンジンと異なっているため、全く同じ効果があるか明確ではないようです

 

 サポニンとは、植物に含まれる配糖体のことで、水や油に溶けて泡立つ特性を持ちます。よく知られているものにはサボンソウやムクロジがあります。 

古くから青森県下の農山村では、アマチャヅルの全草を刈り取り乾燥させ、それをタライに水と一緒に入れて、その中で洗濯物をもみ洗いすると泡立ち汚れが落ちるので、洗濯機が普及するまで、この地方では洗濯剤として利用されてきたといわれています。これこそまさしく無公害の天然洗剤です。

 

 また、サポニン(ダイオール系)は神経の興奮やストレスを鎮める効果があります。そのうえ、特定のサポニンの薬理試験ではガン細胞に対しての制がん作用も確認されており、 間接リュウマチ、低血圧、動脈硬化、肝臓障害などの予防もあるとされています。

 こんなにも有用な植物とは思って貰えないアマチャヅルですが、民間薬として用いられている薬草です。

学  名:Gynostemma pentaphyllum

科  名:ウリ科

生 薬 名:七 葉胆(しちようたん)

利用部位地上部⇒8~9月の晴天の日に、葉、茎を摘んで、水洗いをしてから水

         を切って少しずつ束ねておくとやりやすいです。

         生乾きの時、23cmに刻んで、天日でよく乾燥させます。

   強壮、強精、利尿作用、肝臓障害、ストレス性疾患

        ・間接リュウマチ、低血圧、動脈硬化などの予防  。

        生活習慣病の予防、アンチエイジング効果も期待出来るとされています。、 

使 用 法:・健康茶として⇒茎葉5グラムに約1リットルの水をいれ、番茶のように煮出

                   して服用します。鎮静作用があるので、ストレスが引き起こ

                   すいろいろな病気に応用できます。

       ・咳止めに⇒一回量3~5gを水400~600ccで半量になるまで煎じて、服用しま

               す

成   分: 葉にはダンマラン系サポニンの20(s)ープロトバナキサジオールを基本骨格と

         するギベノサイド類が多数報告されています。これらは、オタネニンジンの

         成分に類似し、同一の化学構造のものも幾種類か見いだされています。

         トリデルペノイドサポニン、ジンセイノイドなどのサポニン。

 

      ●オタネニンジンと類似成分が発見されたことで、注目され服用され始めました

       が薬理効果は未だはっきりしていないので、今後の研究が待たれるところで

       す。       《注意》副作用が出たら、直ちに服用を止めてください。 

 

                                                    戻る