ウイキョウ(フェンネル)

 寒さの中でも、こぼれ種であちらこちらに出てきて活き活きしているのは、ウイキョウです。生薬名では茴香と書きます。胃腸薬や香辛料に用いられる薬用植物です。一般では、スィートフェンネルと云う方がよく分かるかもしれません。

  学名はFoeniculum vulgareといい,原産地は地中海沿岸、セリ科の植物です。南ヨーロッパのものは草丈は1m内外だそうですが、日本産は2mほどにも生る大型の多年草です。茎葉は青緑色で、枝分かれしたような細い葉が羽状複葉でつき、生長すると茎の先端に傘の骨のように1カ所から同じ長さで伸びた先に更にもう一度同じよう枝分かれした先に、6月~8月頃小さな黄色い花をつけます。このような花の付き方はセリ科の特徴で複数散形花序(ふくすうさんけいかじょ)又は複数傘形花序(ふくすうさんけいかじょ)といいます。

小さな花ですが、よく見れば花弁は5枚あり内側に巻きこんでいます。中央の雌しべの下に、甘い蜜がひかっています。この頃になると、アリやカメムシが集まってきます。         

                

やがて5本の線のある果実がつき、その果実が生薬となります。生薬名は茴香(ういきょう)で、芳香性健胃、駆風、去痰薬などに用いられます。駆風とは、胃腸に溜まったガスの排出を促進することです。

 日本には平安時代に中国から薬用として入ってきて、薬用として栽培されてきました。長野県、鳥取県が主な生産地ですが、今日では薬用の他に、多くはスパイスとしての利用が多くなっています。

 

 香りが強いのは種子の方で、煮込み料理に用いられます。鶏肉や豚肉の料理に使えば芳香で脂っこさが薄らぎ、後味が爽やかに感じられます。焼魚、蒸魚などの料理では生臭さを軽減します。 カレー店によってはフェンネルシードが置いてありますが、食後に種子を咬むと口中が爽やかになるためです。ハーブティーとして飲めば、芳香は食欲増進、消化促進するでしょう。

 

 フェンネルシードは比較的強い生薬ですから、使いすぎには注意してください。料理では入れすぎないように、ティーも濃すぎないように、お気を付け下さい。

種子ばかりでなく葉も魚貝類のサラダに入れて生食できます。

 茴香は、別名小茴香とも云われます。小があるなら大茴香(だいういきょう)というのもあるのです。しかし、こちらはセリ科ではなくてシキミ科です。別名スターアニスといい、中華料理の豚の角煮に使われている「八角」のことです。

 植物名はトウシキミといい中国南部からインドシナ半島や南インドに自生しており、国内ではあまり栽培されていません。トウシキミについては、こちらを参照して下さい。

 

ウイキョウ(スイートフェンネル)は洋の東西を問わず、古くから人の生活に関わってきた有用な植物なのです。葉は 洋風の煮込み料理に香草を束にして入れるブーケガルニには欠かせませんし、フェンネルシードは中国の香辛料「五香粉」やインドのカレー粉の原料にもなっています。

 

茴香(フェンネル)はデパートやスーパーでは香辛料の売り場にありますが、生葉は生鮮野菜のコーナーで見かけません。もっと利用されてもよいハーブだと思うのですが・・・・・自分で栽培していれば使いたいときに,使えますよ。今年のガーデン計画に、加えてみて下さい。

 

原産地: ヨーロッパから中央アジア一帯。
形 態:草丈は原産地では1m程度だそうですが、日本産では1.5~2m程にもなる

    大型の二年草です。葉茎は淡緑色、葉は互生して3~4回の羽状複葉、小葉

    は糸状に細かく分かれています。6~8月頃、複散形花序で萼のない黄色い

    小花をつけます。秋には7~10 mmの長楕円形の2個合わさった実をつ

    け、乾燥すると分離しやすくセリ科特有の形をしています。
学 名Foeniculum vulgare

科 名:セリ科
利用部位:葉、種子、鱗茎。
利用法:●葉⇒食用(スープの具、フリッターにして)に。賦香料(製品の基剤に

       香りをつけることです)に。ブーケガルニに。

    ●料理の香りづけに⇒ピクルスの味付け、ザワークラフト、カレー等や

              焼き菓子、リキュール類等に。

       ●種子⇒・ハーブティーに。        
           ・精油・・・マッサージオイルとして筋肉痛に。香味料、香水、化

                                      粧品に。                
効 能:健胃、去痰。

    アロマセラピ-ではストレス、疲労、消化不全、月経障害などの緩和に。
成 分:酢酸リナリル、リナロール、スクラレオール 。