カミツレ

 このところの暖かさでカミツレの花が、いくつか咲き始めました。ハーブではカモミールと呼ばれているもので、和名をカミツレいいます。
カミツレには2種類ありますが、皆様ご存知でしょうか。
よく見かけるのはジャーマンカミツレで、一年草又は越年草で、こぼれ種でもよく増えるタイプで、3月頃から咲き始めるのはこのタイプです。もう一つは宿根草のローマンカミツレです。
単にカモミールというとジャーマンカミツレを指します。

 

ジャーマンカミツレ  
 紀元前2000には、古代バビロニアで、薬用として使われていましたし、現在でも世界各地で薬用を目的に栽培されています。
日本には、江戸時代にポルトガルやオランダによって紹介されました。

草丈は30~50cm、茎は直立し多数分枝し、開花期は3月~6月で、茎上端に散房花序の白い花弁に黄色い円錐形の中心部のある頭上花をつけます。花は咲き進むと中心の黄色い部分(舌状花)が盛り上がってき、蜜の香りがしますが、葉には香りはありません。花が終わると枯死しますが、こぼれ種で増えますが、次第に性質は鈍くなり、香りも弱くなるので、香りが弱くなったら新しい種から更新する方が良いでしょう。

 

 カミツレは[畑のお医者さん]とも呼ばれています。弱っているキャベツやブロッコリーなどのアブラナ科やタマネギなどの野菜の周りにカミツレを植え付けると、元気を取り戻してくれるといわれます。このようなハーブを“コンパニオンプランツ”といいます。例としてはトマトにはバジルが有効といわれています。

 

 二種の見分け方として分かり易いのは、花床を切断してみることです。断面の中が空洞になっているのはジャーマンカモマイルで、ローマンカモマイルの断面は空洞ではありません。


 カミツレのティーは消化不良によく鎮静作用があるためリラックスできます。就寝前にのむとよいでしょう。私がハーブを知ったきっかけになったのは、ピーターラビットの絵本でした。

 

I am sorry to say that Peter was not very well during the evening
His mother put him to bed., and made some chamomile tea,

and she gave a dose of it to Peter!
‘One tablespoon to be taken at bedtime’

 

夜間、気分の優れないピーターをお母さんはベッドに入れ、カモミールティーを作って「寝る前に一匙飲むのよ」と飲ませました。

 

花から水蒸気蒸溜で精油を採り、カモマイル配合の化粧品にも配合されたり、アロマセラピーでも利用されています。

カミツレの精油は青リンゴに似た香りが安全、効果的といわれますが、ティーでアナフィラキシィー反応での死亡例もありますので、キク科にアレルギーのある方は飲用しないでください。本種には、抗潰瘍作用はなく、多く服用すると胃の筋肉を弱めることがあります。また子宮収縮作用があるので、妊娠中は用量を守り、精油は使わないでください。「メディカルハーブ安全性ハンドブック」では、ドイツ認定基準には、“浸剤は目の近くで使ってはならない”と製品表示を義務づけていると載っていますので、使用にはお気をつけください。
 

 

ローマカミツレ
 ローマンカモマイルは多年草で、学名からアンセミスと呼ばれています。本に依ってはペレニアルカモマイルと記載されているでしょう。

ペレニアル(perennial)は、「絶え間ない」、「永続的な」の意で、植物では、多年生(宿根草)のものを指します。

薬用としては、ジャーマン、ローマン共に同じように用いられます。


茎は直立せず這うように伸びます。開花期は夏で茎の先端に白い花をつけますが、花付きはよくありません。。

 

この2種は形態、成分とも大変よく似ていますが、分類上は別の属で、別種です。科は同じでも、属は異なっているのです。

 

花や葉はリンゴの香りがし「地上のリンゴ」と呼ばれます。近くに生えている病んだ植物を治すことから「植物のお医者さん」ともいわれています。

 

花だけを見てジャーマンかローマンかを見分けにくいのですが、見分ける方法としては、最盛期の花を縦に切ってみるとよくわかります。

ジャーマンは花床が中空ですが、ローマンは中空にはなっていません。

 

園芸種として、八重咲きのダブルフラワーカモマイル A. nobilis 'Flora Pleno'や芝生として利用されるノンフラワーカモマイル A. nobilis 'Treneague'、黄色の染料として用いられるダイヤーズカモマイル A. tinctoriaがあります。

学  名:ジャーマンカミツレ⇒Matricaria chamomilla
       ローマンカモマイル⇒Anthemis nobike
科  名:ジャーマンカミツレ⇒キク科 シカギク属(一年草)
       ローマンカミツレ⇒キク科  ローマカミツレ属(多年草)
生 薬 名:カミツレ
利用部位:頭花⇒開花時に頭花を採種し、日干しします。
     (双方とも、花の中心部の黄色が鮮やかになり、舌状花がシャントして

                いるときに採取します。)
利 用 法: どちらも同じように用いられます。
      浸剤⇒食欲不振、消化不良、過敏性台帳症候群に、マウスウォッシュ、

                          吐き気に。

         (ローマンのティーは苦味があります。使用後の出がらしは、

         ガーゼに包んでハップに使えます)

      吸入剤⇒ボウルに茶匙2の花を入れ、熱湯を注ぎ蒸気を吸引します。

          鼻カタル、喘息、百日咳に。

         (夜間は、お湯に精油2,3滴入れて寝室に置いておくとよい)

      チンキ⇒不眠、緊張

      軟膏⇒虫さされ、傷、痒みのある湿疹に。

      精油⇒ローション、吸入剤に。

   ・妊娠中は。子宮収縮作用があるので精油は使わないこと

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