コスモス

薬草園には、11月の今も未だにコスモスが咲き続けています。このコスモスは当院のシンボルともされていますが、何故なのでしょう。花が可愛い、美しい、日本の秋に似合うからということなのでしょうか。

 

コスモスは日本の風景によく似合うようですが、原産地はメキシコです。日本への渡来は多説がありますが「原色牧野日本植物図鑑」によれば、渡来は明治10年頃とされています。栽培が容易であることやこぼれ種で拡がり、明治の末には全国的になっていたでしょう。

 

コスモスの学名はCosmos bipinnatusです。和名のコスモスはその学名に由来します。この場合のCosmosはラテン語ですが、英語、フランス語、スペイン語、ポルトガル語でも同じcosmosです。イタリア語ではCosmo、ドイツ語ではKosmosとなります。属名がギリシャ語のkosmosに由来していますが、それは”秩序、調和、美麗”を意味します。種小名のbipinnatusは「2回羽状の」という葉の状態を示しています。あの線のような細かい葉で、いかにも華奢に見える姿からは台風にも倒されない強さがあるのには驚きます。

 

東京農大の湯浅浩史博士は著書「花おりおり」(朝日新聞社刊)の中で、”語源はギリシャ語で「秩序」。そこから星が整然と座す「宇宙」や、「舌状花弁」が整斉と並ぶ花のコスモスになったのだろう”と著されています。これを読んで私は、このことが額田晋先生の世界観に通じるのであり、病院のシンボルとも成り得たのであろうと思えたのですが、真意は一度院長にお尋ねしなくては判然としません。

 

話はかわりますが、コスモスは食べることが出来るのはご存知でしょうか。病院に植栽してあるなら薬効があるのではないかと思って調べてみましたが、見つからなかったのです。けれども、昨日「食べられる野生植物大図鑑」のなかで見つけました。それによれば、格別な薬効があるわけではありませんが、エディブルフラワーとして、サラダの飾りや、花弁を集めて茹でてジュースやゼリーにも利用できるそうです。興味のある方は以下に利用法をまとめたファイルを載せておきますので、参考にしてください。

 

コスモスの利用法

                                   青山