スイカズラの蔓は右巻き?

 園には大きなクワがあります。昨年はほとんど実らなかったそうですが、今年はたくさんの実が付き、食べ頃に色づき始めました。近づいて見ていた看護師さんから「あらっ、いい匂いがするけれど、何の匂い?」と訊かれました。

さぁなんだろうと見回しても見当たりませんが、辺りには確かに甘い香りが・・・・・


周りを探してみると、近くの生け垣からスイカズラがあちらこちらで垂れていました。こんな所にスイカズラが・・・と寄れば,甘い香りを一段と強く感じます。

イカズラは別名ニンドウ、キンギンカ(金銀花)といわれ、日本各地に普通に生える常緑蔓性木本植物です。

 

子供の頃、筒状になった花を引き抜いて管の細い方を口にして甘い味を愉しんだ思い出のある方は多いでしょう。こういえば“あぁ、あれか!”とお分かりでしょう。

香りに惹かれ、吸って甘い味を味わえる蔓性の植物というのが名前の由来です、ハ英名のジャパニズ-ハニ-サックル(japanese honeysuckleも同様に、花筒から蜜(honey)を吸う(suck)ことからの名前です。

 

 生薬では、冬でも枯れず常緑なので葉の部分を冬忍(ニンドウ)と云います。咲き進むと白から黄色に変化する花の、白と黄色を金銀に見立てて、花蕾部分は金銀花(キンギンカ)と云います。 

 葉茎、花蕾を乾燥して利尿、健胃、解熱、腰痛などの薬としてきました。昔は花で冬忍酒を造っていたそうです。ハ-ブではハニ-サックルと呼ばれ、同じように用いられますが、現在では薬用としてはスイカズラが用いられています。

 茎は円柱状で、周囲の植物に右巻きに絡みつきながら、伸長し、およそ56mになります。夜会蔓には軟毛がはえていますが、生長するにつれ無網となります。葉は卵状楕円形で全縁の37cmの葉が対生に付いています。

「枝は円柱状で、その蔓は右巻きで他の植物に絡みついて伸びています」と植物の本には説明してありますが、果たしてその通りなのか観察してみました。

 右巻きか左巻きかは、蔓性植物に付いては論議されていますが、どうもよく分からない! 上の写真は、我が家で撮ったスイカズラですが、どう見ても左巻きです。しかしこの写真を上下回転させてみると、何と右巻きに・・・・

ということは、上から見るか下から見るかによって、見方が異なるのです。

 この後、調べてみたら、Z巻き⇒右巻き、S巻き⇒左巻きという言い方もありました。この類の議論は蔓性植物全般にあるのですが、植物を見上げるように見るのか、見下ろすように見るのかの違いだけのように思います。

 

皆さんはどうご覧になりますか?

スイカズラは薬草園奥の生け垣や駐車場の生け垣にありますから、近くを通られるときは、是非近寄ってご覧ください。匂いも嗅いでみてください。

学  名Lonicera japonica
科  名:スイカズラ科
生 薬 名  : 花蕾⇒金銀花(キンギンカ)・葉茎⇒冬忍(ニンドウ)
利用部位:葉茎⇒69月に切り取り、23日日干しにした後、陰干しにします。
     花蕾⇒5月の開花期に摘み採り、風通しのよいところで陰干しに。
     :冬忍⇒解熱、消炎、利尿薬として化膿症、浄血、関節炎などに用いられ

        られます。

使 用 法 :解熱⇒金銀花を1回量3gを水200ccを半量になるまで煎じて服用。  
     化膿症⇒冬忍を1日量5~10g400ccの水で半量になるまで煎じ13

        に分けて食後30分に服用します。
     関節が痛むとき⇒金銀花を1日量3gを水200ccで半量になるまで煎じ、

            食後に服用。
     痔の痛み・腰痛に⇒冬忍を100g程布袋に入れ鍋でひたひたの水を加え、

             煮だした液を袋と共に浴槽に入れて入浴します。
成  分:葉にタンニン、サポニンのロニセリン。
     花に蝋質のセリルアルコール、ステリン、アラキン酸、リノレイン

     酸、リノール酸等を含有。

 

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