ボウフウ

   本州、(関東以西)、四国、九州、沖縄の海岸に生えるセリ科の多年草です。台湾、中国、フィリッピンに分布しています。当園にあるのはボタンボウフウPeucedanum japonicum といいます。ボタンボウフウの名前はご存じなくても沖縄の長命草の名前は、コマーシャルなどで耳にされたことがあると思います。 

  ボタンボウフウは、海岸の岩場に生えることから別名をイワゼリと云います。もう一つの別名は、長命草です。沖縄ではサクナ、チョーミーグサと呼ばれ、長寿につながる薬草として、民間的に使われています。

草丈は1mほどになる大型で、茎は直立してよく分枝し、上部には細かい毛があります。葉は233出葉で、ボタンの葉に似ています。葉がボタンに似て、香りがボウフウに煮ていることからボタンボウフウの名になりました。名前にボウフウとつきますが、生薬の防風(ボウフウ)とは、別のものです。

 

ボタンボウフウは、民間薬として、風邪や咳止め、滋養強壮に用いられています。

日本薬局方では、生薬の防風ボウフウは、同じセリ科ですが、別のトウスケボウフウ Saposhnikovia divaricate セリ科 を指します。

 上の写真がトウスケボウフウです。ボタンボウフウとは、形態が違います。トウスケボウフウは中国からシベリアに分布する多年草で、日本には江戸時代の享保年間に、中国から苗が伝えられ奈良県大宇陀の森野旧薬草園で、江戸幕府の命によって栽培されましたが、一時絶滅しました。その後、森野藤助によって復活したので、森野藤助にちなんでトウスケボウフウ(藤助防風)、または宇田防風、種防風とも呼ばれています。現在では僅かに薬草園で栽培されている程度で、現在流通している大方は、中国からの輸入品です。

 

体の代謝を促す漢方薬(防風通聖散 ぼうふうつうしょうさん)で、皮下脂肪が多く、便秘がちの人によく合います。最近は、肥満を解消する薬としても使われていますし、お正月のお屠蘇にも使われています。

 

 もう一つのハマボウフウ Glehnia littoralis  セリ科 もボウフウの代用に用いられます。 

  の写真はハマボウフウです。 

 

日本の、北海道から沖縄に至る砂浜の海岸に生えています。砂丘に根を深く張ることで、風邪で砂が飛散するのを防ぐ、即ち “砂丘を風邪から防ぐことから命名されたそうです。それほど多くあった砂地海岸は減少して、現在では。ハマボウフウは、岩手から千葉の太平洋側の県ではレッドデータに記載されています。

            

葉を咬むと、セリ科特有の清涼感があり、料亭などでお刺身の「つま」として料理に彩りと香りを添える高級食材として知られるハマボウフウです。八百屋で扱われるため、別名を八百屋防風ともいわれます。

 

料理に利用されるばかりでなく、生薬 防風として用いられ、薬用部分は根茎で、おもな薬効としては、解熱作用、鎮痛作用、免疫抑制作用があります。

漢方では、発汗、解熱、鎮痛、鎮痙のために用いられてきたボウフウの代用生薬とされます。

 

 

 

 

 

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