ミシマサイコ

  あまり馴染みはありませんが、我が国の特産とも言える薬草として有名な植物です。園では、中央の奥まった場所で、丁度花盛りですが、花は小さいので近くに寄ってご覧下さい。

 この植物の根を生薬 柴胡(さいこ)といい、解熱、鎮痛 作用があり、多くの漢方処方に用いられている薬草です。

 名前の由来は、静岡県の三島付近が良品の産地とされていたことに依ります。江戸時代の旅人は、三島宿で泊まると柴胡(さいこ)という生薬を買うのが習わしだったと云われています。三島の薬種問屋に持ち込まれる、柴胡は、非常に品質が良く、伊豆の草原地帯の山々を野焼きして掘り出したものといわれていました。本来は野生のミシマサイコを採って用いていましたが、需要が増えると乱獲され、現在では絶滅危惧種になっています。

  ミシマサイコBupleurum falcatum は本来は本州、四国、九州の日当たりのよい山野に試製するセリ科の多年草です。細長くて固い茎は直立し、枝分かれしながら1m近くまで伸びます。

 

細長い葉は互生し、湾曲気味の葉には数本の葉脈があります。

 

枝の先端は更に傘状に細かく分かれ、花序は傘の骨組みのようになり、9月~10月、1mmほどの黄色の花をつけます。萼は其れらしい物が見られる程度で、はっきりしません。花 弁は5枚、先端は内側に曲がっています。苗は密生のまま放置すると、茎葉ばかり細長く繁茂します。

 

 

 

薬用としての利用部分は肥大した根なので、移用する場合は根を太らせるため傘状の花を摘心します。

 

生薬名を柴胡(さいこ)といい、消炎、解熱作用がありますが、単体で用いることはなく、多くの漢方処方で用いられていす。 

 慢性肝炎、臓器の炎症、初期段階の風邪、喘息といった症状に対して、その症状を改善するためで使われています。単味では用いず、漢方の処方で用いられています。複数の薬草が配合された結果、生じる作用であって、単体の作用ではないのです。例えば食欲不振、胃炎。風邪、中耳炎などには、「小柴胡湯(しょうさいことう)」を、又高血圧、慢性胆嚢炎、胆石症などには「大柴胡湯(だいさいことう)」をということです。配合はそれぞれ異なりますので、漢方薬局でお尋ねになってください。

 

 “花が好きなの・・・"とおっしゃる方の多くは、園芸種の可愛い花をイメージしていらっしゃるように私は感じます。このミシマサイコからは「まぁ~、可愛い!!」なんて言葉は聞かれなさそうですが、消えゆく有用な在来の植物を栽培されてみては如何でしょうか。


 中国、明の時代に著された「本草綱目」では、サイコを、「若いときは食用にし、老ゆれば採って柴とす。それゆえ苗は芸蒿、山菜、茹草の名があり、根は柴胡(さいこ)と名づけられる」という記述があるそうです。

しかし、私は苗の頃の葉は、一度も食べたことはないのです(-_-;))

今度は、試してみたいと思っています。

 

 某ハーブ園では、葉をハーブティーとしても販売されていますし、ハーブキャンディーの製品もあるようですから、大いに試してみる価値がありそうです。

自分で栽培した薬草を取り入れてみては如何でしょう。

学  名:Bupleurum stenophyllum
科  名:セリ科
利用部位:根
生 薬 名:柴胡(さいこ)
作  用: 消炎、解熱作用
適  応:(漢方処方として)
    ・食欲不振、胃炎、かぜ、中耳炎⇒小柴胡湯(しょうさいことう)
    ・高血圧、肝臓肥大症、慢性胆のう炎、胆石症、心臓性ぜんそくなどに
     ⇒大柴胡湯(だいさいことう)
使 用 法: 処方されたものを0.5㍑の水で半量まで煎じて煎じて3回に分けて服用し

     ます。
成  分:トリテルペン系サポニン:サイコサポニン(saikosaponin) a~f など