研究課題

研究事業概要

                                                                                       平成28229

 所長  八木橋操六 (やぎはしそうろく)

 

 宇宙の中における人類の健康を願って創設された本究所では、ヒト、時代はわってもその理想、設立の趣旨はわらずに引きがれています。大とは異なった、息の長い、そして人の幸福に還元されるようなけられるよう、地道な努力がそこにあります。ここでは、古くは結核療法のテから始まり、現在では糖尿病、末梢神疾患など時代に即したが行われています。昨今では、どの施設でも、究方法は分子生物の進究機器により、大きく進展しています。最先端をゆく大きな究所や大などでは、を方法論や機器開に特化したところもあります。また、新しい治療法開のための細かな細胞分子機構の解明なども際的な競となっています。それらとは異なり、本究所目的は、患者さんがもつ障害や苦痛の問題を、具体的に解決していこうというものです。そのために、本究所では、臨床観察からの病因、病態の解明を目指すことが第一の目標となります。それとともに、たとえば動物実験を基礎に臨床医学へとるトランスレショナルをも目指しています。現在、わがは未の高にあり、生活習慣病にまされる方が多いのが大きな問題となっています。糖尿病、高血認知症、がんなどにどのように立ちむかうのか、あるいはどのようにともに生きていくか、という問題の解決のために、この究所の活動がいています。

 

現在施中究テ

  1. 高血による末梢神障害

  2. 末梢神のねじれの機序解明

  3. 糖尿病での末梢神障害の機序と臨床病態の解明

  4. 糖尿病での膵ランゲルハンス島の

 

1. 高血圧性末梢神経障害:発生機序の解明

 本課題については平成24年度から3年間、日本学術振興会科学研究費(学術研究助成基金、基盤研究C)の助成を受けている(課題番号24591307)。本研究は、オタゴ大学医学部内科、弘前大学医学部分子病態学教室、青森県立中央病院神経内科、愛知学院大学内科などとの共同研究である。

 

【目的】

 近年、高血圧と末梢神経障害の密接な関連が明らかとなっている。しかしながらその基礎的研究はほとんどなされていない。本研究は、高血圧性末梢神経障害の成因を明らかにし、その対策を講じるためのトランスレーショナルリサーチである。

 

 本研究ではモデル動物を使用し以下の点を検討する。まず、(1)血圧上昇による末梢神経障害発症メカニズムの解明と、降圧による末梢神経保護作用について検討する。また、(2)高血圧合併の有無による糖尿病性末梢神経障害の発症・進展・治療の相違についても追究する。

 

【背景】

 我々は高血圧自然発症ラット(SHR)の長期間観察により明らかな末梢神経障害を見出した。28及び44週齡SHRで、神経伝導速度が運動神経、感覚神経ともにコントロール(WKY)に比し、有意の遅延がみられた。病理学的には軸索萎縮、血管壁肥厚、髄鞘内浮腫、神経内鞘浮腫などをSHRにより高度に認めた。しかし、無髄神経線維の変化、更に高血圧の程度・期間との関連、降圧薬による治療効果などについての検討が必要である。

 

 また、高血圧が末梢神経障害を惹起する機序については不明である。我々はSHRの後肢末梢神経に、組織学的に神経束内細小血管に基底膜の肥厚などを認め、高血圧による細小血管障害が高血圧性神経障害の一因となる可能性を示唆した。

 

【研究計画】

 以下の各課題で生理学的機能評価(神経伝導速度、神経血流量、血管内皮細胞機能検査など)、分子病態学的検査(後根神経節および末梢神経のmRNAを発言をリアルタイムPCR法により解析)および病理学的検査(脊髄、後根神経節、末梢神経、腎臓、膵臓の免疫染色、電顕など)を実施する。

 

1)高血圧性末梢神経障害発生機序

 SHR、脳卒中易発症高血圧ラット(SHRSP)、Dahl食塩感受性高血圧ラット(Dahl S)の各モデルにおいて、高血圧の程度・期間と末梢神経障害発症の関連を明らかにする。さらにSHRでは降圧薬(ARB、CCB)投与による末梢神経障害発症予防、発症後の治療効果および末梢神経保護効果について検討する。

 

2)高血圧の糖尿病性末梢神経障害へのインパクト

 ストレプトゾトシン(STZ)による新生児糖尿病を合併したSHR、および高血圧合併Zucker糖尿病ラット(ZSH-1)を、糖尿病合併高血圧モデルとして用い、高血圧非合併糖尿病ラットと、末梢神経障害の発症・進展・程度について比較検討する。さらに、メタボリック症候群モデルについても糖尿病の有無による差異を検討する。

2. その他の末梢神経障害における基礎的研究

・糖尿病性末梢神経障害発症における虚血の関与

・末梢神経虚血・再潅流傷害機序の解明

・末梢神経虚血・再潅流傷害に対するHGF遺伝子治療(防衛医科大学整形外科

 との共同研究)

・末梢神経虚血・再潅流傷害に対する水素療法(防衛医科大学整形外科との共  

 同研究)

3. 高血圧患者における末梢神経障害の検討

 動物実験において証明された高血圧性末梢神経障害について、臨床における高血圧患者での末梢神経障害の検討。本研究は、英国マンチェスター大学心臓血管研究部門との共同研究である。平成24-25年度には重症高血圧患者約20名について、神経学的、電気生理学的、皮膚生検および角膜焦点顕微鏡を含めて末梢神経障害についての精査を予定している。

4. 高齢者における末梢神経障害

 当財団の付属病因での超高齢者を含む外来・入院患者について、末梢神経障害について検討し、末梢神経の加齢現象についての病態を明らかにする。特に、健康な高齢者と寝たきりの高齢者についての比較、糖尿病・高血圧などの生活習慣病の関与、低タンパク血症の影響などについて検討する。

5. 末梢神経障害研究に対する研究助成

 平成25年度より、糖尿病など生活習慣病による末梢神経障害の予防・診断・治療に関する優れた研究に対し助成金を交付している。

6. 学会発表:平成22年度(2010年)以降

1.        額田 均:糖尿病性末梢神経障害の成因:IGTの関与を含めて、「シンポジウム:慢性合併症の臨床:神経障害」第44回糖尿病学の進歩、大阪、2010. 3

2.        額田 均:虚血と末梢神経、第46回脊髄・末梢神経・筋疾患懇話会、青森、2010. 8

3.        額田 均:糖尿病性神経障害と虚血・再灌流傷害、「シンポジウム:糖尿病性神経障害と免疫・炎症」、第16回糖尿病性神経障害を考える会、東京、2010. 8

4.          土原豊一、額田 均、根本孝一:ラット末梢神経虚血・再灌流傷害モデルにおける感覚障害:治療法の確立に向けて、第21回日本末梢神経学会、仙台、2010. 9

5.          額田 均、馬場正之、Denise McMorran、小笠原 早織、八木橋操六:糖尿病ラット末梢神経の虚血・再灌流傷害に対する形態学的脆弱性とマクロファージ活性化、21回日本末梢神経学会、仙台、2010. 9

6.          額田 均:高血圧の糖尿病性神経障害へのインパクト、「シンポジウム:糖尿病神経障害の新時代成因から治療まで」25回日本糖尿病合併症学会、大津、2010. 10

7.          土原豊一、額田 均、Denise McMorran、根本孝一:ラット末梢神経虚血・再灌流傷害モデルにおける感覚障害に対するHGF治療の効果、第52回日本神経学会、名古屋、2011. 5

8.          額田 均、馬場正之、Denise McMorran、小笠原早織、八木橋操六:STZ-糖尿病神経の神経内鞘マクロファージ活性化と虚血に対する形態学的脆弱性、第54回日本糖尿病学会、札幌、2011.5

9.          Nukada H, Baba M, Ogasawara S, McMorran D, Mizukami H, Yagihashi S: Hypertensive neuropathy and the impact of hypertension on diabetic neuropathy. NeuroDiab Meeting, Porto, Portugal, 2010. 10

10.   額田 均、馬場正之、小笠原早織、Denise McMorran、八木橋操六:高血圧自然発症ラットにおける末梢神経障害、シンポジウム1「糖尿病性ニューロパチー」第22回日本末梢神経学会、沖縄、2011. 9

11.   額田 均、馬場正之、小笠原早織、Denise McMorran、八木橋操六:高血圧自然発症ラットにおける末梢神経障害、第34回日本高血圧学会、宇都宮、2011. 10

12.   額田 均、馬場正之、小笠原早織、Denise McMorran、八木橋操六:高血圧自然発症ラットにおける末梢神経障害、第26回日本糖尿病・肥満動物学会、名古屋、2012. 2

13.   額田 均、馬場正之、小笠原早織、Denise McMorran、八木橋操六:高血圧性末梢神経障害:SHRでの検討、第53回日本神経学会、東京、2012. 5

14.   額田 均、馬場正之、小笠原早織、Denise McMorran、八木橋操六:高血圧性末梢神経障害:SHRでの検討、第55回日本糖尿病学会、横浜、2012. 5

15.   額田 均、馬場正之、小笠原早織、Denise McMorran、八木橋操六:Nerve microangiopathy in SHR.23回日本末梢神経学会、博多、2011. 9

16.   Nukada H, Baba M, Ogasawara S, McMorran D, Mizukami H, Yagihashi S: Microangiopathy in hypertensive neuropathy. NeuroDiab Meeting, Dresden, Germany, 2011. 9

17.   Nukada H. Vascular factors in diabetic neuropathy with special reference to the impact of hypertension. Symposium ‘Diabetic neuropathy’,  9th Congress of International Diabetes Federation Western Pacific Region, and 4th Scientific Meeting of the Asian Association for the Study of Diabetes, Kyoto, 2011.11

 

額田 均、馬場正之、小笠原早織、Denise McMorran、八木橋操六:高血圧

 自然発症ラットにおける末梢神経障害、第26回日本糖尿病・肥満動物学会、

 名古屋、2012.2

 

額田 均、馬場正之、小笠原早織、Denise McMorran、八木橋操六:高血圧性末梢神経障害:SHRでの検討。第53回日本神経学会、東京、2012.5

 

額田 均、馬場正之、小笠原早織、水上浩哉、Denise McMorran、八木橋操六:Nerve microangiopathy in SHR。第23回日本末梢神経学会、福岡、2012.9

 

Nukada H: Vascular factors in diabetic neuropathy with special refereence to the impact of hypertension. Symposium "Diabetic Neuropathy", 9th International Diabetes Federation Western Pacific Region Congress and 4th Scientific Meeting of the Asian Association for the Study of Diabetes. Kyoto, 2012.11

 

額田 均:高齢者における糖尿病性閉塞性動脈硬化症の4症例。第4回千葉市糖尿病と合併症・関連疾患を考える会、千葉、2012.12

 

額田 均、馬場正之、小笠原早織、水上浩哉、Denise McMorran、八木橋操六:高血圧性末梢神経障害での細小血管症。第56回日本神経学会、東京、2013.5

 

Nukada H, Pollock M. Cold injury to peripheral nerve. "Cryomedicine 2013", The 40th Annual Meeting of Japan Society for Low Temperature Medicine, Nagoya, 2013.11 (Kopran賞受賞)

 

八木橋操六:糖尿病性神経障害の新しい展開. 第56回日本糖尿病学会学術集会シンポジウム. 熊本、2013.5

 

八木橋操六:糖尿病病理学の進歩. 形態と機能の相関を求めて. 第101回日本病理学会学術集会、特別講演(宿題報告)、札幌、2013.6(日本病理学会賞受賞)

 

堀田亮太郎、船水章央、鈴木千恵子、馬場正之:Wartenberg症候群の浅橈骨神経伝導異常について.第43回日本神経臨床生理学会、高知、2013.11

 

Yajima N,, Wada R, Kimura S, Matsuzaki Y, Chiba D, Ebina Y, Ohkusu K, Yagihashi S. Whipple disease diagnosed with PCR using formalin-fixed paraffin-embedded specimens of the intestinal mucosa. Intern Med 2013; 52: 219-222

 

Sugimoto K, Baba M, Suzuki S, Yagihashi S. The impact of low-dose insulin on peripheral nerve insulin receptor signaling in streptozotocin-induced diabetic rats. PLoS One 2013; 8: e74247

 

Kamata K, Wada R, Yajima N, Sawada M, Wakasa H, Yagihashi S. Primary gastric synovial sarcoma: molecular disgnosis and prediction of prognosis. Clin J Gastroenterol 2013; 6: 303-308

 

八木橋操六、水上浩哉:糖尿病性神経障害の成因研究の進歩。医学のあゆみ 2013;244(2):139-145

 

 

Nukada H, Pollock M. Cold injury to peripheral nerve. “Cryomedicine 2013”,The 40th Annual Meeting of Japan Society for Low Temperature Medicine, Nagoya, 2013. 11 (Korpan 賞受賞)

 

額田 均、馬場正之、小笠原早織、水上浩哉、Denise McMorran、八木橋操六:糖尿病性末梢神経障害に対する高血圧の影響:高血圧自然発症ラット(SHR)での検討、第55回日本神経学会、博多、2014. 5

 

額田 均、馬場正之、小笠原早織、水上浩哉、Denise McMorran、八木橋操六:糖尿病性末梢神経障害に対する高血圧の影響:高血圧自然発症ラット(SHR)での検討、第57回日本糖尿病学会、大阪、2014. 5

 

Naruse K, Nukada H, Kobayashi Y, Nakamura N, Hata M, Ozawa S, Himeno T, Kamiya H, Nakamura J, Tanaka Y, Matsubaba T: Transplantation of Dental Pulp Stem Cells Improves Sural Nerve Morphology in Long-term Diabetic Polyneuropathy. 75th Scientific Sessions, American Diabetic Association, Boston, USA, 2015. 6

 

小松雅俊、山崎 宏、林 正徳、植村一貴、内山茂晴、池田修一、額田 均、加藤博之:特発性後骨間神経麻痺における“くびれ”の病理像、第25回日本末梢神経学会、京都、2014. 8

 

Nukada H, Baba M, McMorran D, Yagihashi S: Hypertensive neuropathy in spontaneously hypertensive rat. 32nd World Congress of Internal Medicine, Seoul, South Korea, 2014.10

 

額田 均: 糖尿病と不眠症、第8回千葉市糖尿病と合併症・関連疾患を考える会、千葉、2014.11

 

額田 均: 末梢神経と虚血、シンポジウム「末梢神経障害」、第58回日本手外科学会、新宿、2015.4

 

小松雅俊、額田 均、内山茂晴、山崎 宏、加藤博之:特発性後骨間神経麻痺における“くびれ”の病理像、第58回日本手外科学会、新宿、2015.4

 

7. 刊行論文:平成22年度(2010年)以降

1. 額田 均:糖尿病性末梢神経障害の成因:IGTの関与を含めて、日本糖

    尿病学会編糖尿病学の進歩 2010,44集,診断と治療社,2010 p228-33

2.  Yagihashi S, Mizukami H, Ogasawara S, Yamagishi S, Nukada H, Kato N, Hibi C, Chung S, Chung S. The role of the polyol pathway in acute kidney injury caused by hindlimb ischaemia in mice. J Pathol 2010;220:530-41

3.   額田 均:多巣性運動ニューロパチー、今日の治療指針 2010p 808

4.    Nukada H, McMorran PD, Baba M, Ogasawara S, Yagihashi S: Increased susceptibility to ischemia and macrophage activation in STZ-diabetic rat nerve. Brain Res 2011;1373:172-82  (2010, Dec 3, Electronic)

5.    Nukada H: Ischemia and diabetic neuropathy. In: Handbook of Clinical Neurology: Diabetes and the Nervous System. Malik R, Zochodne D (eds), Elsevier

6.    額田 均、馬場正之、小笠原早織、Denise McMorran、八木橋操六:高血圧自然発症ラットにおける末梢神経障害、末梢神経 2011;22:153-5

7.    額田 均:糖尿病性神経障害の成因-血管性因子、月刊糖尿病 特集「糖尿病と神経障害」 2011;3(3):33-40

8.    額田 均:高血圧の糖尿病性神経障害へのインパクト、糖尿病合併症 in press

9.    額田 均:糖尿病神経障害の成因-血流障害、糖尿病臨床のすべて in press

 

 

 

10.額田 均:糖尿病神経障害の成因-血流障害、糖尿病臨床のすべて:糖尿病性神経障害、基礎から臨床のすべて。荒木栄一、中村二郎(編)、中山書店、2013, pp99-101

 

11.Yamamoto K, Amako M, Yamamoto Y, Tsuchihara T, Nukada H, Yoshihara Y, Arino H, Fujita M, Uenoyama M, Tachuibana S, Nemoto K. Therapeutic effect of exendin-4, a long-acting analogue of glucagon-like peptide-1 receptor agonist, on nerve regeneration after the crush nerve injury. Bio Med Research International, 2013, Article ID 315848, hyyp://dx/doi.org/10.1155/2013/315848

 

12.松本 光、伊藤香奈、内田菜穂子、高木亜由美、高橋美千代、金子健彦、額田 均、古橋紀久、橋詰直孝。高齢者における自立度別病態像と栄養状態の研究。New Diet Therapy, 2013;29:3-19

 

13.Nukada H: Cold injury to peripheral nerve. Low Temp Med 2013;39:70-72

 

14.Nukada H: Ischemia and diabetic neuropathy. In: Handbook of Clinical Neurology: Diabetes and the Nervous System. Malik R, Zochodne D (eds),vol. 126, Elsevier, Edinburgh, 2014, pp 469-488

 

 

 

8. 雑文、その他:平成22年度(2010年)以降

1.    額田 均:老後はニュージーランドか()、千葉市医師会だより、2011;468:44-8

2.    額田 均:高血圧は末梢神経障害の原因になりうる、‘第22回日本末梢神経学会、糖尿病性末梢神経障害に新知見’Medical Tribune 2011.10.27,44(43);45

3.    額田 均:ニュージーランドのラグビー、千葉県ゐのはな会会誌、2012;12:38